パズルゲームが「おこづかいアプリ」にサーバースイッチで大変身 悪質アプリ業者の仰天手口 #AppStore定点観測 12/16
2015/12/28

Appleによるリワード広告の規制で「おこづかいアプリ」が徹底してリジェクトされる中、新しく配信開始されてしまったおこづかいアプリが「サーバースイッチ」と「ローカライズ」という合わせ技で審査の網をくぐり抜けていることが分かりました。
2015年11月13日に配信開始された「超絶高還元!即交換で小遣い稼ぐならマネーの城!」(開発: Chihiro Ishikawa)の、日本向けスクリーンショットは現在の厳しい審査状況では到底認められないものです。
(「アプリのインストールでお小遣い稼ぎ‼︎」…これはあかんやつや。。)
さすがにこのスクリーンショットはいくら審査時に「アプリDL案件」を隠して、保険料見積りやauスマートパスなどの「ウェブ案件」だけにしても通らないだろう…となるのですが、これには秘密がありました。
下記、App StoreのURLの末尾の“l=jp”は言語設定で日本向けのApp Storeを表示せよというパラメーターです。
https://itunes.apple.com/jp/app/ji-nan!-ma-ya-chuan-shuo!/id1051626353?l=jp
こちらのjpをアメリカ向けに“l=en”としてみます。
https://itunes.apple.com/jp/app/ji-nan!-ma-ya-chuan-shuo!/id1051626353?l=en
こちら調べてみたところ、パズループの亜種である「ZUMA」という洋ゲーのコピーアプリでありました。
しかもまんま完全一致するものがHTML5版でウェブに放流してあったのであります。
(左が英語版スクリーンショット、右がHTML5のウェブブラウザゲーム)
iPhoneのSafariでも十分遊べるHTML5のゲームでした。そこらのネイティブアプリのクソゲーよりよっぽど面白いです。技術の進化すごい。
まとめるとこういうことになります。
◯審査時
App Storeのローカライズ設定で、英語の「メタ情報」のスクリーンショットをパズルゲームのスクリーンショットにしておく。
さらにサーバースイッチで、「審査モード」をオンにして、全画面表示のウェブビューをHTML5のゲームにスイッチして審査に出す。
↓
◯審査後
サーバースイッチでウェブビューを「おこづかいアプリ」に変身させる。ローカライズはそのままにアプリの配信地域を日本だけにする。
以上となります。Appleのレビュアーは、カリフォルニアメンですので中国語も日本語も同じに見えてしまうでしょう。英語のメタ情報を見てみたら中国語のよく分からないゲームっぽいタイトル・説明文・スクリーンショットで、実際にアプリを起動してみてもパズルゲームが始まればすんなり通してしまうかもしれません。
残念なことに日本語のスクリーンショットを確認する手間を惜しんでしまったのでありましょう。
こちらApp Storeからサポートサイトを確認するとさらに面白い事実が分かりました。
サポートサイト
http://legendgamesapp.blogspot.jp/?m=1
このURL部分の”legendgamesapp.blogspot.jp”をググってみると…
「アイコン付箋紙」「進撃のにゃんこ」「レジ打ちの達人」・・・
何か聞き覚えのあるアプリ名が出てまいりました。
アプコレさんのサイトを見てみると、見覚えのあるスクリーショットが・・・
「アイコン付箋紙【ホーム画面に付箋紙を貼ろう!アイコンが付箋紙に変わる!】Free」(開発者:my first book the nature)
これは……
2年前に世間を騒がしたパクリアプリ業社やないか!!
一度、悪徳商法に手を染めるとそこから脱却することはできないということでありましょうか。
このとき「レジの達人」をパクられた業社さんもすっかりこの名作アプリをこうしたりするブーストパクリ業社に変わってしまったのは寂しいところですが。
最近で「コンテンツの開発環境と本番環境の出し分け」というサーバースイッチ技法でアカBANとなったアプリ業社さまが話題になりました。
広告SDKの管理画面には未だに「審査モード」というスイッチが備わっている広告会社さまもおられます。
広告会社はこれに対し、審査の時だけ表示しない『審査モード』なるものを実装し、リリース後から広告を表示していたわけです。
http://furuapp.net/icon-wall/
サーバースイッチの悪用は、結局のところ審査の厳格化を誘発し真っ当な開発者への負担を増幅させることになります。
そこまでして新しい「おこづかいアプリ」の審査を通過させなくてはいけないほどリワード広告業界は窮地に立たされているのでしょうか。果たしてそこまでしてAppleに逆らって不正行為を重ねなくては事業が成り立たないのでしょうか。
そんなリワード広告の情勢をアプリ版『アップトーキョー』の「AppStoreリアルタイム定点観測」で見てみましょう。